今、学校の部活動のあり方が見直されつつある。スポーツ庁では、教員の「働き方改革」を進めるため、中学校の休日の部活動を外部委託するための検討に入っている。「地域移行」はすでに事例があり、茨城県つくば市の中学校では、地域のスポーツクラブが指導を担当。教員の負担減に前向きだ。ただ、保護者の新たな金銭的負担が増える可能性があり、潤沢な指導員がいるわけでもないので、外部委託はまだ模索の段階にあるといえる。
そんな中、“測定”という数字を使った方法で、指導者の負担減や指導の均一化を目指しているのがアシックスだ。選手らの運動能力を測定し、分析し、アドバイスを含めて共有する。客観的な数値を軸に、選手個々で成長の戦略が考えられるのも魅力だという。現在は、野球に特化した測定サービス「ベースボールラボ」が稼働中だ。アシックスジャパン マーケティング統括部の山田裕也氏は、「これまで属人的な指導が目立った野球において、運動能力を数値化し、それを基に強化につながる方法はないかと考えていた」と語る。“測定”を生かした同サービスの可能性を山田氏に聞いた。(取材・文・撮影/編集者・メディアプロデューサー 上沼祐樹)
属人的な指導が一般的な野球界に
「ベースボールラボ」が投じた一石
これまでの野球界では、個人の感覚で指導するケースが少なくありませんでした。プロの世界もかつてそうだったと聞いています。属人的な指導だと、監督変更のタイミングで、チームの方針や選手起用がガラリと変わってしまうこともあります。毎回それでは、選手が積み上げてきたものが生かされません。
そうした課題に対する取り組みとしては、最近では「大谷翔平選手」が最も象徴的で、科学的根拠に基づいたトレーニング方法を取り入れています。そういった価値観も広まる機運があるのですが、なかなか学校の部活動まで浸透しているとは言えませんね。
昨今の学校事情から、部活動に外部指導員が入ることが考えられます。そんな時にどうやって生徒たちは均一的な指導を受けられるか、そういった発想からアシックスではまずは野球に注力した測定サービス「ベースボールラボ」を開発しました。