長野県にある「テラス蓼科リゾート&スパ」は、トヨタグループが経営するホテルだ。グループ社員の保養所としてオープン。のちにレクサスオーナーをはじめ、一般ゲストにも開放されるようになった。そんなテラス蓼科では、形式にとらわれない利用者視点に立ったサービスが提供されている。ホテルといえば定番の“朝食券”を配るのをやめた背景にも、トヨタ流の思考法があった。
※本稿は馬渕博臣著『レクサスオーナーに愛されるホテルで学んだ 究極のおもてなし』(KADOKAWA)を一部抜粋・再編集しています。
「トヨタグループのホテル」が
ゴルフ場の予約の代行をやる理由
冬になると蓼科にはスキーのシーズンがやって来る。私は蓼科に来るまで、スキーをしたことがなかった。ところが、スキーを目当てに蓼科にやって来るトヨタ関連の中国人ゲストが増えるにつれて、彼らのお供をするためにスキーを始めていた。
もちろん、すぐには滑れるようにはならなかった。そこである年の冬、3日間の予定でスキースクールで滑り方を習い、どうにかゲストのお供が務まるようにまでなった。
おもてなしという目に見えない心遣いをお客様にお届けすることが私の仕事だ。そのために、基本的には何でもする。
そのおかげで、思いもよらない出来事に遭遇することが何度もあった。こうしたチャンスに触れられるのも、テラス蓼科での仕事の楽しさだった。
通常の仕事の範疇を越えるものの中には、ゴルフ場の予約も含まれた。
他のホテルでは「大変申し訳ありませんが、お客様ご自身でお願いします」と言って断る場合がほとんどだ。だが、テラス蓼科ではゴルフ場の予約の代行を承っている。