全ての価値が個人化していく
平尾:『世界2.0』で、「好きなことをやって生きていく」から「なりたい自分で生きていく」流れに変わっていくので、ビジョン力が大事という話がありました。そういう戦いになると、表現力や未来を描く力が高いクリエイターが輝く世界になるということですか。
佐藤:クリエイターに限らず、人の「意思」しか価値が残らないのではないかという気がしています。
平尾:「自分らしいやり方」ですね。
佐藤:ええ。AIによって論理性と合理性はほとんどカバーできるので、おまえは何者になりたいんだ、何を表現したいんだということしか、人間の価値は残らないという気がしてならないんです。TikTokの流れを見ると典型的ですよね。役に立つと思って見ている人はほとんどいない。YouTubeも、彼らの世界観に対して視聴が伸びているだけで、あれを見て勉強になったという人はそんなにいないんじゃないか。YouTube自体も、それを促進しようとしていますしね。
平尾:メタバースや、Web3.0、三次元のインターネットが出てくると、個人がもっと強くなる非中央集権化が進むと読めました。個人がどんどん強くなっていくかどうかは、ITの起業家からすると興味があるところです。
佐藤:すべて枝わかれしていくのではないでしょうか。クリエイターはどんどん強くなっていくと思いますし、今まで起業家が作っていたようなコンシューマー向けサービスはインフルエンサーが代替していくようになる。彼ら自身がメディアになるので。
平尾:もうすでになっていますよね、箕輪さんなんかまさにそう。編集者のみなさんは、戦い方を変えないといけない時期にきていますよね。
佐藤:いままでは、メディアが大事だったのが、箕輪さんという個人の価値がそれを食っちゃった。たぶん、この流れは止められないと思っています。すべてのものが個人化されていく。
平尾:別解力が極めて高い編集者ということですよね。
箕輪:そうですかねえ。実際にこのベン図でやってみましたけど、すぐに行き詰ってしまいましたよ(笑)。
株式会社幻冬舎 編集者
1985年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2010年双葉社に入社。ネオヒルズとのタイアップ企画『ネオヒルズジャパン』を創刊し、3万部を完売。『たった一人の熱狂』(著)見城徹/『逆転の仕事論』(著)堀江貴文などの編集を手がける。2015年幻冬舎に入社後、NewsPicksと新たな書籍レーベル「NewsPicksBook」を立ち上げ、編集長に就任。『多動力』(著)堀江貴文、『日本再興戦略』(著)落合陽一など、編集書籍は次々とベストセラーに。2019年一番売れてるビジネス書、『メモの魔力』(著)前田裕二も担当。
2018年8月、自身の著書『死ぬこと以外かすり傷』を発売し14万部を突破。2019年12月には『マンガ 死ぬこと以外かすり傷』も発売。出版クラウドファンディングエクソダスにて1000万円を集め、2021年1月サウナ雑誌『サウナランド』を創刊。様々なブランドとコラボレーションを行い、「サウナランド」ブランドの展開や、各地でサウナランドフェスを開催している。