手を動かして書くことが大事

陰山 スケジュールはデジタルにしたとしても、「書く」ことは重要なんです。大阪の教育改革で成果の上がってきた学校に、何が機能したかを聞き取り調査したら、一番効果があるのは「ノートをちゃんと書く」ということでした。

和田 それはどういう効果で?

陰山 自分の手を動かして書くことが大事なんです。教師をしていて不思議だったのは、子どもたちが活気に満ちていて、意見もたくさん出て、われながらハイレベルな授業ができたと思っても、テストをしてみるとボロボロということがあるんです。一方で、そんな活気があるようには思えない普通の授業でも、全員が好成績ということもある。何が違うんだろう、ひょっとして……と、全員のノートを集めてみたことがある。

和田 はい。

陰山 調べたら子どもの1ヵ月のノートの使用量は平均30ページ。ところが成績のいい月は50ページだった。教師も親も教育委員会も、子どもたちが勢いよく発表しているような授業はいい授業だと錯覚するけれど、シーンとして黙々とノートを取っている授業のほうがはるかに成績はいいんです。だからそれ以降、最低でも月50ページはノートを書かせることを義務付けた。

和田 私もメモ魔なんです。駆け出しのころ、周りの人の言葉をとにかく書いて営業を覚えたんです。確かに手で書くと自然に記憶に残る気がします。

陰山 手で書いた内容は強く脳に刻み込まれるんですね。僕自身、手帳のフリーページにぎっちり書いてました。横着だからもともと書くのは嫌だが、書くときには「ここはこうしよう」と一人会議をしながら、書いて分析する。例えば、なぜこの子はできないのか、と。

和田 これからも、もっと書くようにします。
 


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