米財務省がロシアのオリガルヒ(新興財閥)の実業家アリシェル・ウスマノフ氏に制裁を科した3月3日、貨物船がアラバマ州モービルに到着した。積み荷は、ミシシッピ州の製鉄所に向かう予定の5万3000トンの銑鉄(せんてつ)だった。出荷記録によると、送り主はウスマノフ氏が主な出資者となる会社の子会社だった。別の子会社はそれを運んだ船会社を所有している。これらは全て合法だった。ロシアのウクライナ侵攻後に経済制裁を科す上で、米当局は例外を設けた。ウスマノフ氏のようなオリガルヒの権益は世界経済に非常に深く織り込まれているため、彼らのビジネスを抑え込めば経済的な痛みや法的なしっぺ返しを食らうことになりかねない。財務省の現・元当局者はそう話す。
あるオリガルヒへの米制裁、「特例」で緩い訳
「プーチン氏に近い新興財閥に多大な代償」 現実のダメージは軽微
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