「部下のメンタルを潰す上司」に共通するヤバい口ぐせ

多くの人に共通する悩み、それは「誰とも戦わずに好きなことで効率的に結果を出す方法があるなら教えてほしい」ということだろう。この悩みの解決法をいま話題のプロデューサー佐久間宣行が指南する本『佐久間宣行のずるい仕事術』がついに刊行された。「限られた時間」と「自分の得意」で付加価値を生み、ムダなことはやらずにコスパよく、戦わずしてラクして速く成果を出すための、佐久間流、力の入れ方、力の抜き方とは? 今回は本書の発売を記念し、特別インタビューを実施。1999年にテレビ東京に入社して以来、番組プロデューサーとしてさまざまな活躍をしてきた佐久間氏に、部下とのコミュニケーション術について聞いた。
(取材・構成/川代紗生、撮影/石黒幸誠)

ヤバい上司のヤバい口ぐせ

──テレビ業界に入って20年以上、これまで数々のチームを引っ張ってこられたと思います。にも書かれていましたが、部下とのコミュニケーションは、どんなことに気をつけてこられましたか?

佐久間宣行(以下、佐久間):そうですね。たとえば会議でいえば、気をつけているのが「発言したら採用される」空気感をつくること。自分とは違う強みを持つ人、違う立場にいる人だからこそ浮かぶアイデアもたくさんありますから、若いメンバーも意見を言いやすい雰囲気づくりをするのは、常々意識していますね。

──上司が怖くて萎縮してしまう、といった悩みはよく聞きます。ただ、部下を育成するためには、時に叱咤激励しなくてはならない場面もありますよね。厳しさと優しさのバランスが難しいと思うのですが……。「部下の成長を促せる人」と「部下のメンタルを潰してしまう人」の違いはどこにあらわれるでしょうか。

佐久間:一番「こういう人になっちゃいけない」と意識しているのは、「占い師型上司」です。占い師みたいな口ぐせを持つ上司、いるじゃないですか。「お前さ、このままいくと絶対こうなるよ」みたいに、勝手にこちらの未来を予言して、謎の呪いをかけてくる人。

──ああ、いますね……(笑)。予言されるとその言葉がずっと頭の中に残って、緊張してしまう気がします。

佐久間:僕は若い頃、そういう人にたくさん出会ってきてすごく嫌だったので、「絶対占い師にだけはならないぞ」と思っています(笑)。

そういう人たちが呪いをかけたがるのは、相手のことを心から心配しているからではなくて、相手をコントロールしたいからなんですよね。そんな脅しみたいな言葉で動くほど、人は簡単じゃありません。

自分の思う通りに部下が動いてくれないときは、不安や徒労感からメンバーを責めたくなりますが、そういうときは、実はまず、メンバーの負担超過を疑ってみるといい。

業務過多で疲れ切っていると、人は動きが悪くなって失敗が多くなる。そこを説教や気合いで押し切ろうとすると、余計に気持ちが離れていってしまいます。