デジタル化を背景に、「コンサルティングも行う」と銘打つSIer(システムインテグレーター)が増えている。しかしこうした「SIerのコンサル化」はあまりうまくいっていない。その理由とは何か。また、コンサルもIT領域での支援を強化しているが、SIerで働く人で「コンサルに向いている」のはどんな人なのか。コンサル業界の転職事情・キャリア形成に詳しいヘッドハンターの奥井亮氏が解説する。
「コンサルのSIer化」と「SIerのコンサル化」が
進んでいる
近年、デジタル化の波を背景に、「コンサルのSIer(システムインテグレーター)化」や「SIerのコンサル化」が進んでいます。
デジタル化は、ITとビジネスを切り離せないものへと変化させました。その結果、今までビジネスサイドを支援の中心としていたコンサルはITにも支援領域を広げ、それに対抗するようにITを主戦場とするSIerはビジネスサイドに支援領域を広げようとしています。しかし、コンサルのSIer化とSIerのコンサル化は、その両方ともがうまくいっているわけではありません。
まず、コンサルのSIer化については、クライアントのデジタル変革を推進する中で、クライアントからの要望に応え続けた結果、比較的自然にSIer化が進んでいるといえます。アクセンチュアが代表的な例でしょう。
クライアント企業としても、依頼した戦略や業務の領域におけるプロジェクトが絵に描いた餅に終わらないよう、そのままITの実装や実行まで一気通貫で支援してくれた方が安心です。コンサルが最後まで面倒を見てくれるのであれば、ありがたいとすら思います。コンサルはこの需要に対して、実装周辺を担う専門のチームや子会社を作ることでうまく応えています。最近では“End to End(端から端まで)”という言葉を掲げるファームも多く出てきました。