大企業に勤めていても決して安泰とはいえない昨今、「もしリストラされたら別の環境で働いていけるスキルがあるのだろうか」と不安に思う中高年は少なくない。分かりやすく明確なスキルが手に入る一つの手段が「資格取得」だが、40代以上のビジネスパーソンが資格で今後のキャリアの強みをつくるにはどうすればいいのだろうか。自らも会社勤めを経て、50歳で社会保険労務士の資格を取得した筆者が、40歳以上のビジネスパーソンが目指すべき資格について徹底解説する。(社会保険労務士 佐藤敦規)
中高年ビジネスパーソンにこそ
おすすめの資格とは?
入社して20数年、これまでがむしゃらに働いてきたが、立ち止まってみると手に入れた明確なスキルが分からない……と悩む中高年社員は少なくありません。もしリストラ対象者になったら、自分は問題なく転職できるのだろうか。会社の外に出てもこの先働いていける力があるのだろうかと不安になる人も多いと思います。
45歳を過ぎると会社内での自分の将来が見えてきます。この段階で課長にもなっていない人が部長になる可能性は極めて低く、役員などは夢のまた夢でしょう。出世しないほうが楽と考える人もいますが、中高年社員をターゲットとしたリストラを断行する会社もあるため、平社員のまま気軽に会社員生活を終えるというのも難しくなってきました。管理職に就いていない中高年社員は、真っ先に対象者に選ばれる恐れがあるからです。
何かスキルを身に付けたい!と考えたとき、分かりやすく明確なスキルが習得できるのが「資格」です。実際、サムライ業といわれる国家資格を取得して、独立して年収が1000万円を超えるなど、会社員から“一発逆転”を実現する人もいます。仮に年収が下がったとしても、自分の裁量で働ける、定年という年齢制限に縛られないといった会社員にない魅力もあります。
とはいえ、いきなり国家資格である士業の試験に挑戦するのは早計です。入門的な位置付けといえる宅地建物取引士(宅建士)でもかなり難しく、勉強を始めても大半の人が想定外の難度や勉強量に音をあげて脱落します。
資格スクールに通った経験がある知人に聞いても、最初は満席だった教室が試験直前になると半数しか来なくなるそうです。運動をしていない人が、フルマラソンに出場しても完走できないのと一緒です。まずは5キロや10キロという短い距離のマラソン大会に出場して、成功体験を積んでみるのがよいです。
では、40代以上のビジネスパーソンは、どのような資格獲得に取り組むのが効果的なのでしょうか。