世界に広がる
ロシア人排斥の動き
ロシアによるウクライナ軍事侵攻をきっかけに、世界中でロシア系住民が差別や嫌がらせ、脅迫、暴力などの標的にされている。
イギリスのロンドンにあるロシアレストランでは「ウクライナ戦争反対」のメッセージを掲げ、収益の一部をウクライナ難民の支援活動に寄付しているにもかかわらず、店のホームページには「お前たちはプーチンのロシア人だ!」「ロシア人は殺人者だ!」など、怒りや非難のメッセージが殺到しているという。
そしてカナダのバンクーバーでは、ロシア政府と関係のないロシアのコミュニティーセンターが破壊され、ウクライナ国旗の色である青と黄色のペンキが辺りに飛び散っていた。さらに米国のワシントンDCやニューヨークにあるロシアレストランでも窓やドアが壊されたり、看板に侮辱的な落書きをされたり、店のオーナーや従業員が「国へ帰れ!」などと罵声を浴びせられたりしている。
彼らの多くは長く海外で暮らし、ロシア政府やプーチン大統領とは関係ないが、プーチン氏が始めた侵略戦争の責めを受けている。
つまり彼らは、「ロシア帝国の復活」という妄想にとりつかれた一人の狂人のような男が引き起こした戦争とは何の関係もなく、しかも戦争反対の意思を示しているにもかかわらず、「人殺しのロシア人」とひとまとめにされ、非難されているのである。世界に広がるロシア人排斥の実態を明らかにし、その危険性について考える。