ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、国会で日本では初となるオンライン演説を行った。約12分の演説には日本を意識した表現や支援要請も含まれており、これまでにアメリカやイギリス、ドイツなどで行ったオンライン演説とは異なるスピーチ内容であった。各国議会で行っているオンライン演説では国ごとに、話のトーンや表現を変えて、これまでは注目だけではなく多くの賛同を得ることに成功しているゼレンスキー大統領。世界各地で見られるウクライナ支持の立役者の一人であることに間違いはないが、他にも立役者はいる。それはスマホを手にした多くのウクライナ人だ。(ジャーナリスト 仲野博文)
ロシア軍の兵士たちは
スマホなどの使用禁止
2月24日にロシア軍が軍事侵攻を開始して以降、戦場となったウクライナ各地の様子がウクライナ国内外のメディアによって現地から伝えられ、民間人が避難するシェルターや居住区域を狙ったロシア軍による攻撃も連日報じられている。メディアの報道に加えて、ウクライナ各地に住む市民がソーシャルメディアに投稿した写真や動画も、ウクライナの本土防衛戦では大きな役割を果たしている。
ツイッターやフェイスブック、ティックトックといったソーシャルメディアには、ウクライナ各地から数多くの写真や動画が投稿されている。ロシア軍部隊を市民が対戦車ロケットやライフル銃で撃退する瞬間、砲撃によって変わり果てた姿となったアパート、ロシア軍に占領された町で市民が抗議デモに参加する様子など、兵士や市民らによるスマホでの記録がほぼリアルタイムで世界中に発信され、拡散されている。