商業ビルやモールの運営会社をどう説得したのか?

最後に、商業ビルやモールの運営会社をどう説得したのかの「裏事情」を紹介したい。

ワークマンはフランチャイズ加盟店による店舗経営を原則としているため、直営店を増やしたくない。

加盟店は法人が複数店を運営するのではなく、個人経営で1店舗のみをお任せしている。

商業ビル店やモール店は売上的には恵まれているが、季節や休日などのオンとオフの差が大きすぎて個人経営には難しすぎる。

ワークマンが最重視している加盟店の「幸福度」を下げてしまう。

ただ、直営店にすると社員が運営するので管理コストが加盟店より大きい。

このため、商業ビルやモールへの直営出店は30店までとしている。

期せずして「♯ワークマン女子」には希少性が生まれた。

人気店であることに間違いはないが、実力以上のプレミアがついた。

これが都心進出の決め手となった。

「♯ワークマン女子」が出店すると商業ビルやモールのフロア全体が活性化する。

つまり、ワークマンへの賃貸部分は赤字でも、フロー全体として採算が取れるのだ。

ノルマがなく、時間をかけてもいい会社なのでこういう僥倖に恵まれる。

「しない経営」で、時間を味方にした成果だ(次回は5/5配信予定)。