昨年度に経営破綻したイセ食品の主力商品である「森のたまご」昨年度に経営破綻したイセ食品の主力商品である「森のたまご」(帝国データバンクが撮影)

帝国データバンクが4月8日に発表した2021年度(2021年4月~2022年3月)の全国企業倒産(法的整理、負債1000万円以上)は5916件、負債総額は1兆1828億7100万円となった。帝国データバンクは全国企業倒産集計を1964年6月分から毎月集計・発表し、そのデータを基に年報や年度報も作成している。その長い歴史のなかで、2021年度の件数は1965年度(5593件)に次ぐ歴史的な少なさとなった。コロナ禍となった2020年度、2021年度はかつてない規模の中小企業支援策で倒産が大きく抑制され続けてきたわけだが、足元ではロシア・ウクライナ情勢の影響、原材料価格高騰・価格転嫁問題など新たな不安要素も生じている。2022年度の倒産件数は増加に転じるのか、それともさらに減り続けるのか。(帝国データバンク情報統括部 阿部成伸)

2021年度の話題の倒産は
「森のたまご」のイセ食品

 まず、2021年度の倒産動向を振り返りたい。発生した5916件を業種別(大分類)に見ると、「その他」を除く7業種中6業種の件数が前年度を下回った。引き続き緊急融資など中小企業向けコロナ対策が倒産を抑制している状態だが、そうしたなかでも唯一、前年度を上回ったのは「運輸・通信業」(273件、4.2%増)だった。

 273件の内訳の大半は運送業者で占められている。倒産が増加した背景には燃料価格の上昇やドライバー不足、荷動きの落ち着きなどが挙げられるが、そのなかでも人手不足を起因とする倒産は今後も増加傾向が続くとみている。