JR西日本は4月11日、「ローカル線に関する課題認識と情報開示について」として、輸送密度(1キロあたりの1日平均旅客輸送人員)が2000人未満の17路線30線区の収支を公表した。公表された収支状況を見てみると惨憺たる数字が並んでおり、不採算路線からの撤退の議論が高まりつつある。だが、JR西日本が公表した真意は別のところにある。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
100円の収入のために
2万5416円を要する路線も
JR西日本の長谷川一明社長は2月16日の会見で、これら線区は「大量輸送機関として鉄道の特性」が発揮できず「このままの形で維持していくことは非常に難しい」として、JR西日本の経営努力だけで維持するのは困難になっているとの見解を示していた。
今後、さらなる人口減少などの環境変化が見込まれる中で、線区の特性や移動ニーズを踏まえ、地域のまちづくりにあわせた持続可能な地域交通体系を構築するため、課題を共有した上で議論と検討に入りたいとしている。