新型コロナウイルス感染拡大に伴い、移動需要の減少が鉄道事業を直撃している。鉄道各社は2020年から21年にかけて、鉄道ダイヤの見直しや修繕計画の延期、ホテル・鉄道事業における人員リストラなど、固定費削減という“応急処置”に奔走してきた。そして22年、いよいよ「値上げ」という聖域なき構造改革に着手する。特集『総予測2022』の本稿では、その構造改革の中身を先取りする。(ダイヤモンド編集部 松野友美)
鉄道利用の減少傾向は続く
コロナ禍前の水準には戻らない
2022年から鉄道会社による値上げラッシュが始まる。鉄道利用は「21年度(22年3月期)末に19年度比80~85%程度まで戻る」との見方が大勢だが、それでも将来的にコロナ禍前と同水準に戻ることはないだろう。
在来線については「回復は早いが、コロナ禍前の鉄道利用の90~95%で落ち着く」と東海東京調査センターの金井健司アナリストは予測する。
鉄道各社は運輸収入の減少に対応するべく、固定費の圧縮などコスト削減を徹底してきた。しかしそれだけでは落ち込みをカバーすることはできない。そのため鉄道会社の経営陣の間では、21年中から値上げが検討されてきた。
22年には、鉄道各社による値上げラッシュとなりそうな雲行きだ。果たして、経営陣はどのような着地点を描いているのか。