「万有引力」など、人類史に残る発見を成し遂げてきた天才科学者アイザック・ニュートン。だが、父親が早くに亡くなったこともあり、彼の実家が世帯年収300万円程度と貧しかったことはあまり知られていない。そこから物理学の研究によって成り上がり、大学教授となったニュートンは一体どれほど稼いでいたのか。堀江宏樹氏の著書『偉人の年収』から、一部抜粋・再編集して解説する。
貧乏のあまり母親が“身売り”
知られざる貧しい少年時代
世帯年収300万円……現代日本なら平均を大きく下回り、子どもがいれば将来の教育費が心配になる数字といえるでしょうか。
17世紀イギリスの天才科学者アイザック・ニュートンの実家の年収も300万円相当でした。ニュートン家の身分は下級貴族なのですが、豊かではなかったそうです。さらに不運なことに、彼が生まれる3カ月ほど前に父親が亡くなっています。
よって家族総出で土地を耕し、農業に従事して得られるだけの額しか稼ぎがなく、それがつまりニュートン家の世帯年収30ポンド=300万円なのでした(当時の1ポンド=現代日本の10万円として換算)。
ニュートン家も、アイザックが生まれた時から将来の教育費捻出に苦労しなくてはならなくなります。彼の母親が取った最終手段は、裕福な牧師との再婚でした。実質的な“身売り”です。
後年、ニュートンの金への執心が爆発するのは、「貧しさゆえに愛する母を牧師に奪われた」という幼い日の記憶があったからかもしれません。