民主党の検察改革に対し
味方からも懸念の声

 全国地検長会議の席上、「昨年1月の検察・警察の捜査権調整以降、事件の処理が遅れ、国民が大きな不便を感じている」との指摘があった。民主党による検察の捜査権への介入が韓国の司法制度の障害となっているということである。

 それでも民主党は翌12日、検察捜査権の完全剥奪法案を4月中に国会で可決させることを党議決定した。しかし、民主党は法案が国会で成立後、施行まで3カ月の期間があることを理由に、捜査権限をどの機関に移管するかは決めなかった。民主党は捜査権を警察、もしくは新設を目指した重大犯罪捜査庁のどちらに移管するのが有利かてんびんにかけているようである。

 このように肝心な問題について態度を保留していることを見ても、この党議決定が拙速なものであったことは否定できない。

 こうした民主党の動きに対しては、文在寅政権の「友軍」であるはずの「民主社会のための弁護士会」(民弁)が、「いくら正しい方向でも、さまざまな検討や補完が必要だ」と懸念を表明している。

 また、民主党以上に左派色の強い革新系野党の正義党も「検察捜査権の完全剥奪を強行できるほどの大義名分や国民の共感は得られているのか」と疑問を呈した。

 法務部次官、検事総長として文在寅政権の不正疑惑に「免罪符」を与えようとした金浯洙検事総長までも、先述の通り、検察組織全体の反対で突然態度を変え、「検察の捜査機能を廃止すれば、検事総長として職務を遂行することに何の意味もない」と批判した。

 民主党による検察捜査権完全剥奪の動きに対し、国民の支持は感じられない。しかし、それでも民主党は同法案の成立を強行しようとしている。なぜだろうか。