ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
マレーシアってどんな国?
マレーシアは東南アジアに位置し、マレー半島とボルネオ(カリマンタン)島北部から成るイスラームを国教とする連邦立憲君主制国家です。
マレー半島の国土は、北部がタイと国境を接し、南部はジョホール海峡を隔ててシンガポールと近接しています。一方、ボルネオ島の国土はブルネイ、インドネシアと国境を接します。
国王は、マレーシアを構成する13州のうち、君主のいない州を除いた9州の王の中から5年ごとに互選(実質上は輪番制)で選出されます。国王は象徴的な存在で、行政は内閣が担います。
1824年の英蘭協約でイギリスの植民地となりました。1942~45年の日本軍占領を経て、再びイギリスの支配下に置かれ、1948年に英領マラヤ連邦となりました。
1957年にマラヤ連邦として独立、1963年にシンガポールと英領サバ、英領サラワクを加えて連邦国家マレーシアが成立しました(シンガポールは1965年に離脱)。
マレー人と華人との経済格差
国民の60%以上をブミプトラ(マレー系住民と先住民族)が占める一方、経済の実権を握るのは華人系であり、ブミプトラとの経済格差から民族対立が絶えませんでした。
1971年、格差を改善するためにブミプトラを企業経営や金融、就職、教育、居住の面において優遇するブミプトラ政策が施行され、現在に至っています。
この政策は、市場原理の抑制や外資導入規制、汚職・癒着といった経済発展を妨げる要因となっているため批判も多く、規制緩和が進められています。
一方で、両者の経済格差は依然として解消されていません。
マレーシア
面積:33.0万㎢ 首都:クアラルンプール
人口:3351.9万 通貨:リンギット
言語:マレー語(公用語)、英語、中国語
宗教:イスラーム61.3%(国教)、仏教19.8%、キリスト教9.2%
隣接:タイ、インドネシア、ブルネイ、シンガポール
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)