ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
ベトナムってどんな国?
ベトナムはインドシナ半島東部に位置し、南シナ海に面する東南アジアの国です。北部は中国と、西部はラオスやカンボジアと国境を接します。
アンナン山脈に沿って南北1650㎞と細長い国土であるため、北部は亜熱帯気候、南部は熱帯性気候と異なる自然環境下にあります。
ベトナム社会主義共和国が成立した経緯
1887年にカンボジアとともにフランス領インドシナ連邦に組み込まれ、植民地となりました。
1945年、中国とソ連の支援を受けたベトナム共産党がベトナム民主共和国(北ベトナム)の独立を宣言しましたが、1949年フランスは対抗して傀儡政権のベトナム国(南ベトナム)を成立させました。
その後、フランスは撤退してアメリカが引き継ぎ、泥沼の内戦(ベトナム戦争)は継続しました。長い戦闘の末、1973年にパリ和平協定が成立し、アメリカ軍が撤退。1976年には南北統一したベトナム社会主義共和国が成立しました。
以来、ベトナム共産党による一党支配が続いています。
日系企業の海外生産拠点
経済は長らく停滞していましたが、1986年に経済の自由化を促進する「ドイモイ(刷新)政策」を打ち出して外資系企業の誘致を図ると、1990年代半ばから日系企業の進出が相次ぎました。
当初は労働集約的な軽工業部門が多く、2000年代に入ると自動車(二輪)・家電など技術集約的な部門の進出が増えました。
部品を供給する関連企業の進出も相次ぎ、現在では日系企業の海外生産拠点の一つになりつつあります。
ベトナム社会主義共和国
面積:33.1万㎢ 首都:ハノイ
人口:1億279.0万 通貨:ドン
言語:ベトナム語(公用語)、英語、フランス語、中国語
宗教:仏教が儒教や道教と習合して、多くの人に根付いている
隣接:中国、ラオス、カンボジア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)