ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

意外と知らない東南アジア「資源が豊富すぎて個人所得税がかからない王国とは?」

ブルネイってどんな国?

 ブルネイは、ボルネオ(カリマンタン)島の北西海岸に位置し、マレーシアに囲まれた面積は三重県ほどの小国です。

 中央を流れるリンバン川河口がマレーシア領のため、国土が二分されています。

 1906年にイギリスの保護領となり、1959年にイギリスの自治領となりました。1963年のマレーシア独立に際しては、イギリス領に留まる選択をし、その後1984年に完全に独立を果たしました。

 敬虔なイスラームの国であり、スルタン(君主の称号)である国王が治める立憲君主制国家ですが、世襲制の国王は、法律の最終決定権や裁判官の任命権、首相・国防相・蔵相・外務貿易相の兼務など、絶大な権力を掌握しています。

スルタン・オマール・アリ・サイフディン・モスク Photo: Adobe Stockスルタン・オマール・アリ・サイフディン・モスク Photo: Adobe Stock

オイルマネーによる「安定した経済」と「充実した社会福祉」

 国王による専制的な統治にもかかわらず安定した内政を維持できているのは、石油・天然ガスなどの豊かな地下資源に恵まれているからです。

 1929年に油田が発見され、イギリス資本による開発が進みました。

 現在も、石油は政府とシェル、天然ガスは政府と三菱商事・シェルの合弁会社によって採掘が行われており、生産された天然ガスの大部分は日本に輸出されています。

 豊かなオイルマネーは、国民に所得税免除、教育費・医療費の無料化、インフラ整備などの恩恵を与え、一人あたりの国民総所得は東南アジアではシンガポールに次いで第2位となっています。

ブルネイ・ダルサラーム国

面積:5765㎢ 首都:バンダルスリブガワン
人口:47.1万 通貨:ブルネイ・ドル
言語:マレー語(公用語)、英語、中国語
宗教:イスラーム78.8%(国教)
隣接:マレーシア

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)