耐水・耐火性能を併せ持った
西陣織の外壁素材を開発できないか

 ある時私は、いかにも妄想ですが、「高層ビルの外壁がすべて西陣織で覆われていたらカッコいいな」と考えました。そこで西陣織の外壁素材を開発できないか、研究開発に取り組むことにしたのです。

 今まで、織物をガラスで挟み込んで、内装材として使用することはありました。

 しかしそういう構造をとると、西陣織特有の立体構造は潰れてしまって、柄をプリントした素材と変わらない見え方になってしまいます。見る角度によって色が変わったり、光がうごめいたりという、西陣織特有の魅力が失われてしまうのです。

 また、ガラスに挟んで使うために接着剤を使用するので、端部から水が入ってしまうと剥離してしまい、耐水性がありませんでした。そのため使われる用途も限定されていたのです。

 何とかこのハードルをクリアしたいと思いました。

 耐水性能、それに加えて耐火性能を持たせ、なおかつ西陣織の立体構造が残る外壁素材の実現。それが目標でした。