子どもたちの個性を尊重し、育てていくために

「異文化共生」「異文化理解」といったワードを耳にしたときに、「なぜ?共生しなればならないのか」「なぜ?理解する必要があるのか?」と思う人もいるだろう。ビジネス社会におけるダイバーシティ&インクルージョンも、日常生活でのダイバーシティ&インクルージョンも決してきれいごとではなく、日本の経済が外国人の労働力なくては、現状維持できないことを、まずは念頭に置きたい。幼いときからさまざまな言語に触れ、文化を知り、自分と異なるもの・多様なものを理解し、受け入れること――はじめのいっぽ保育園の明日が、争いの少ない社会に近づいていくのだろう。

横田 日本の幼い子どもたちが外国人の子どもたちと触れ合い、やがて大きくなったときに、「あのとき、あそこに、外国人のお兄ちゃんやお姉ちゃんがいたなぁ……」と思い出すことにも価値があると思います。そうした記憶が、多様な人たちが暮らす社会に出てからプラスに作用するでしょう。もちろん、家の中できょうだいだけで遊んでいる外国人の子どもが、日本の子どもに接していくことにも大きな意味があります。

 現在、はじめのいっぽ保育園の3歳から5歳は、ブラジル人の子が多く、日本人の子どもが少ない状況です。ですから、小学校に入学したときに、ブラジル人の子が、逆に少数派となった自分に気づき、日本人の子を「怖い」と感じることもあるようです。外国人の子どもたちが日本人の子どもたちと自然に接することができるように、たとえば、「ポニーの乗馬体験」といった、おもしろいイベントを作っていきたいですね。コロナによって、子どもたちが外の広場で遊びづらいので、私たち大人が感染予防をしっかり行いながら、多様な子どもたちを交じらせ、触れ合わせていくことが大切だと思っています。