米連邦最高裁が人工妊娠中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド判決」を覆す意向であることを示した草案が流出したことで、全米で中絶の権利を巡り、先行きが一段と不透明となっている。だが、ミシガン州のような政治的に穏健な州ほど、その行方を見通すことは難しい。ミシガン州は選挙のたびに勝利政党が変わりやすい激戦の「スイング・ステート(揺れる州)」で、2016年の大統領選では共和党のドナルド・トランプ氏、20年は民主党のジョー・バイデン氏が勝利した。そのため、人工中絶に全米有数の厳しい制限をかけるか、中絶の権利を強力に守る州になるのか、いずれにも転び得る瀬戸際に立っている。ロー対ウェイド判決が実際に覆された場合、共和党が実権を握る全米およそ22州は、中絶をほぼ全面的に禁止する構えだ。一方、民主党が支配する州は総じて、中絶への制限緩和や州法での中絶権利の明文化などを求めている。