NHK「プロフェッショナルの流儀」で紹介され話題沸騰! 1200年続く京都の伝統工芸・西陣織の織物(テキスタイル)が、ディオールやシャネル、エルメス、カルティエなど、世界の一流ブランドの店舗で、その内装に使われているのをご存じだろうか。衰退する西陣織マーケットに危機感を抱き、いち早く海外マーケットの開拓に成功した先駆者。それが西陣織の老舗「細尾」の12代目経営者・細尾真孝氏だ。その海外マーケット開拓の経緯は、ハーバードのケーススタディーとしても取り上げられるなど、いま世界から注目を集めている元ミュージシャンという異色の経営者。そんな細尾氏の初の著書『日本の美意識で世界初に挑む』がダイヤモンド社から発売された。閉塞する今の時代に、経営者やビジネスパーソンは何を拠り所にして、どう行動すればいいのか? 同書の中にはこれからの時代を切り拓くヒントが散りばめられている。同書のエッセンスを抜粋してお届けする。

伝統工芸の従来の枠を超えて、可能性を拡げていくプロジェクト「GO ON」Photo: Adobe Stock

伝統工芸を受け継ぐ仲間たちとのプロジェクト「GO ON」

 私が二〇一二年から、伝統工芸を受け継ぐ仲間たちと行なっている「GO ON」というプロジェクトがあります。

 GO ONは、伝統工芸を未来へとつなぐためのプロジェクトです。

 伝統工芸を軸として、アート、デザイン、テクノロジーとの接点をつくり、橋渡しとなるプロジェクトを展開しながら、伝統工芸のさらなる可能性を探っています。

 その活動は多岐にわたります。

 二〇一八年には、ルイ・ヴィトンとのコラボレーションによる、煎茶用トランクケースを発表したり、同年、フランス・パリの装飾美術館で開催された展覧会「ジャポニスムの一五〇年」展に参画。二〇一九年に開催されたG20大阪サミットでは、ファーストレディ、ファーストジェントルマンたちをもてなすランチのテーブルを演出しました。

 後ほど詳しくご紹介しますが、パナソニックとコラボレーションを行なった「Kyoto KADEN Lab.」というプロジェクトなどもあります。

 GO ONの活動は、アート、デザイン、テクノロジーの領域を横断し、新しい価値を社会に示すことで、伝統工芸の可能性を拡げていく挑戦です。