精神科医や心理学者は以前、自分で診療所を経営していた。だが今では、地元のセラピストオフィスがバイアウト(買収)の敏腕投資家に支配されているかもしれない。ベンチャーキャピタリストやプライベートエクイティ(PE)投資会社は心理療法オフィスや精神科施設、オンライン治療のテレヘルスプラットフォーム、新薬、瞑想(めいそう)アプリ、その他のデジタルツールといったメンタルヘルス事業に何十億ドルも投じている。昨年は米セレブラルやベターアップなど、メンタルヘルス関連の新興企業9社が非公開市場で評価額10億ドル超に達した。銀行関係者やコンサルタント、投資家によると、新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウン(封鎖措置)や死者数の増加の陰で、死別の悲しみや不安、孤独にさいなまれる人が増え、こうしたサービスへの需要が高まっている。また医療保険制度や保険会社がメンタルヘルス・ケアに対する支払いレートを引き上げている上、仮想プラットフォームによって臨床医が遠隔ケアを提供しやすくなったことで、同セクターの投資妙味が高まったという。