ヘッジファンドで財を成した富豪のスティーブ・コーエン氏(65)が、米大リーグ(MLB)ニューヨーク・メッツを買収してから1年半。この球界一裕福なオーナーが、膨大なリソースと金融の才覚を生かし、長年不運続きの組織をどう立て直すのか、野球関係者は目を凝らしていた。そのシンプルかつ画期的な答えは、ヘッジファンドをメッツに持ち込むことだった――文字通りの意味で。コーエン氏が率いるヘッジファンド「ポイント72アセット・マネジメント」の幹部社員の一部はメッツ職員を兼務し、重要な役割を担っていることが、スタッフのリンクトインのページやメッツのウェブサイト、事情に詳しい複数の関係者の話から分かった。彼らの多くはメッツの時代遅れになったインフラやデータ分析能力、テクノロジー対応力を向上させる責務を担っている。