【だらだらだら…】人の長話をスパッと切り上げられる「すごい一言」

相手も自分も心地いいコミュニケーションをするために、「言葉の使い方」はとても重要だろう。言葉一つで、前向きな気持ちや幸せな気持ちになれるし、その逆も然りだ。このたび、さまざまなシーンごとにすてきな言い方を紹介する『いつもの言葉があか抜ける オトナ女子のすてきな語彙力帳』が刊行された。著者は7万人を超える人にコミュニケーションを伝えてきた吉井奈々氏だ。吉井氏は全国で講演をするほか、発信しているYouTubeの映像は1日10万時間以上再生され、総再生回数は900万回を超すコミュニケーションYouTuberでもある。
今回は、本書の発売を記念し、特別インタビューを実施。第3回は「あいづち上手になる方法」や「長話を上手に切り上げるコツ」について聞いた。(取材・構成:小川晶子 写真:疋田千里)

本当に聞いてる? あいづち下手は動いていない

──コミュニケーション上手な人は、あいづちがうまいですよね。あいづちによって話しやすくなるし、会話がスムーズに広がっていくと思います。逆に、あいづちが下手だと、本当は聞いているのに「聞いてないでしょ」「興味ないでしょ」と思われたり、話が止まってしまったりして気まずい空気が…。あいづち上手になるためにはどうしたらいいでしょうか。

吉井奈々(以下、吉井):あいづちが下手な人は、とにかく動きがありません。人の話を聞くときは耳と脳を使っているわけですが、それって見た目でわかりませんよね。ちょっとオーバーなくらいに「うん、うん」って頭を上下に動かしたほうが伝わるんです。小刻みに動かすだけでなく、思い切り「うん!」って動かしてみてください。

 感情表現が得意でない人は、髪型をポニーテールにするとか、揺れるタイプのピアスやイヤリングを身に着けると「揺れ」の表現が大きくなり相手への興味が伝わりやすくなります。表情や頷きの動きが小さくても、揺れるものが助けてくれるんです。

あいづち上手が使う「あいうえお」

吉井:そうやって顔を動かしながら、「あいうえお」であいづちを打てばOKです。

「あ」は「あ~」という感嘆や納得。「い」は声を出さず、口を「い」の形にして歯を見せてにっこり笑顔で頷く。「う」は「うん、うん」と相手の話に興味を示して。「え」は笑顔で「え~!」という新しい発見や目からウロコの驚き。「お」は「おお~!」という賞賛です。

──おお~! わかりやすい!(実践中)

吉井:話し手は、自分の話がきちんと伝わっているかな? とどこか不安を抱えているものです。「あいうえお」であいづちを打ってくれていれば、安心して話せます。大きく頷く+「あいうえお」、これだけであいづち上手になれちゃいますよ。

 会議中などで声を出すことができなくても、「あ~」の口だったり「お~!」の口だったりしていれば「伝わっているな」「よく聞いてくれているな」と感じます。

 オンライン会議では話し手以外の人はミュートにすることが多いですよね。聞き手の音声がオフの状態で、軽く頷いているだけだと「適当に頷いているだけなのでは?!」と不安に思うかもしれません。要所要所で「あ~」「え~!」と口が動いていると、よく聞いていることが伝わります。

──うんうん、わかります! オンライン会議はとくに「本当に伝わっているかな?」と不安になりますよね。大きく頷きながら「あいうえお」だけだったら簡単ですぐに実践できますね。

話し手をフリーズさせる、注意すべきあいづち

──逆に、悪気はなくても乱暴に聞こえてしまうあいづちはありますか?

吉井:「たちつてと」のあいづちです。「た」は「だから? 何?」、「ち」は「ちょっと待って? 何?」、「つ」は「つまり何?」、「て」は「で? 何?」、「と」は「どういうこと? 何?」です。話を一生懸命聞いていたとしても、こういうあいづちを打つと乱暴に聞こえるから要注意です。実際、イライラしているとき、時間がないときに言いがちではないでしょうか。早く結論を言ってよ! もっとわかるように言ってよ! という気持ちが出ていますよね。

──「だから? つまり、どういうこと?」って子どもに対して言いがちかもしれません…。

吉井:よくありますよね。相手の年齢に関わらず、「たちつてと」のあいづちは話し手をフリーズさせてしまうんです。「だから?って言われると…、何が言いたかったんだっけ…」と、直前までまとまっていた話もうまく言えなくなります。

長くなった話を上手に切り上げるには

──長い話を切り上げたいようなときにはあいづちも乱暴になりそうですが、感じよく切り上げる方法はあるでしょうか。

吉井:突然「そろそろ会議の時間なもので」と話を切ると、話し手は傷つきますよね。「そのお話もっと聞きたいんですけど、会議の時間があるので、またあとで聞かせてもらっていいですか?」というように、最初に「本当はそのお話をもっと聞きたい」という内容のクッション言葉を入れます。すると、話し手は否定されていませんから「そうだったの、気づかなくてごめんね」というように気持ちよく会話を終えることができますよ。時間があいてクールダウンすると、話したい気持ちもおさまっていたりするものです。

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【だらだらだら…】人の長話をスパッと切り上げられる「すごい一言」吉井奈々(よしい・なな)
一般社団法人JCMA代表理事、コミュニケーション講師
企業や教育機関でコミュニケーション講師として活躍。15年間にわたって約7万人に「心を大事にするコミュニケーション」を伝えている。
出生時に割りあてられた性別は男性だったが、性別適合手術を受けて戸籍を女性に変更し、現在は男性と結婚。自身の生き方と経験から、さまざまな立場の人の気持ちを汲んだコミュニケーションが得意。
日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エムなど多くの省庁や企業で講演や研修を担当。現場で使えるコミュニケーションスキルやマネジメントの考え方は再現性が高いと評判で、大手コンビニチェーンでの講演は「また来年も聞きたい講演会ナンバーワン」に選ばれる。著書に『オトナ女子のすてきな語彙力帳』など。
【だらだらだら…】人の長話をスパッと切り上げられる「すごい一言」