他人とのコミュニケーションは、気を遣うし疲れます。
けれどなるべくラクに、自分らしく、たのしく会話したいもの。そしてできれば、良い印象も与えたい! ですよね。
この連載では、日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エムなど多くの省庁や企業で講演や研修を担当し、15年間にわたって約7万人の老若男女にコミュニケーションを教えてきた『オトナ女子のすてきな語彙力帳』の著者、吉井奈々さんが「自然体のまま」で「相手も自分も大切にするコミュニケーション」のコツをご紹介します。
声を出さなくてもあいづちは打てる
「あいづち」は思いやりのコミュニケーションです。
短いひと言が、相手を安心させたり、不安にさせたりします。とても重要なコミュニケーション手段なのです。
会話中、話し手は自分の説明や相談が「うまく伝わっているかな……?」と、どこか心配や不安を抱えているもの。そんなときに、聞き手が理解を示すあいづちを打ってくれると、相手には安心感が生まれます。
プレゼンや打ち合わせなどの説明には「わかりやすいですね」とあいづちを入れるのもいいですね。
大きくうなずくだけでも、印象は全然違います。オンラインでのコミュニケーションで、ミュート設定の場合はとくに、大きくうなずいたり、手を叩いたりして、ビジュアルであいづちを打つのがおすすめです。
「たちつてと」のあいづちが相手を傷つける
話の要点や結論を求めて、つい出てしまいがちなフレーズを「たちつてと」でまとめました。やさしくない印象となる上に、相手を緊張させてしまいます。
「た」 …「だから、何?」
「ち」 …「ちょっと待って、何?」
「つ」 …「つまり、何?」
「て」 …「で? 何?」
「と」 …「どういうこと? 何?」
悪気はなかったとしても、ちょっと乱暴に聞こえますね。
子どもに対して言ってしまう人も多いようです。相手を萎縮させるので要注意です。
聞き返すときの、すてきなひと言
話がまとまらないときは、こんなひと言で場を落ち着かせましょう。
「いったん、整理しますね。〇〇ということでいいですか?」
話をまとめてみんなで共有するのは、意外と難しいこと。こんなひと言で、絡まったひもを解くようにやさしく整理しましょう。
また、相手の話がわかりづらいなあと感じるとつい、
「え? 何?」
「全然わかりません」
と問い詰めたような口調になってしまいますが、そこは落ち着いて
「もう一度、よろしいですか?」
「もう一度、お願いします」
と余裕をもって丁寧に聞き返せるといいですね。
短いそのひと言が、その場の雰囲気を柔らかくするはずです。
(本記事は『オトナ女子のすてきな語彙力帳』をもとに編集しています)
一般社団法人JCMA代表理事、コミュニケーション講師。
企業や教育機関でコミュニケーション講師として活躍。15年間にわたって約7万人に「心を大事にするコミュニケーション」を伝えている。日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エムなど多くの省庁や企業で講演や研修を担当。現場で使えるコミュニケーションスキルやマネジメントの考え方は再現性が高いと評判で、大手コンビニチェーンでの講演は「また来年も聞きたい講演会ナンバーワン」に選ばれる。著書に『オトナ女子のすてきな語彙力帳』など。