【飲み会、懇親会で】相手と一瞬で打ち解けられる「超万能の質問」

相手も自分も心地いいコミュニケーションをするために、「言葉の使い方」はとても重要だろう。言葉一つで、前向きな気持ちや幸せな気持ちになれるし、その逆も然りだ。このたび、さまざまなシーンごとにすてきな言い方を紹介する『いつもの言葉があか抜ける オトナ女子のすてきな語彙力帳』が刊行された。著者は7万人を超える人にコミュニケーションを伝えてきた吉井奈々氏だ。吉井氏は全国で講演をするほか、発信しているYouTubeの映像は1日10万時間以上再生され、総再生回数は900万回を超すコミュニケーションYouTuberでもある。
今回は、本書の発売を記念し、特別インタビューを実施。第1回は「人と打ち解けたいときに要注意な質問」や「仲良くなれる質問」について聞いた。(取材・構成:小川晶子 写真:疋田千里)

その質問、地雷を踏むかも! 聞いてしまいがちだけど要注意な質問

──新年度が始まって、新しい環境に慣れてきたという人も多い頃かと思います。周囲の人ともっと打ち解けたいと思ったとき、少しつっこんだ質問をしたいところですが、逆に壁を作ってしまうような残念な質問にはどんなものがありますか?

要注意質問1 「彼氏(彼女)いるんですか?」

吉井奈々(以下、吉井):懇親会の席で「彼氏(彼女)いるんですか?」と気軽に聞いてしまうというのはありがちです。でも、もしかしたら相手の方は同性とお付き合いしているかもしれませんよね。とくにいまはジェンダーの多様性、幸せの多様性に対する認識が高まっている時代です。単純に「彼氏」「彼女」という言い方をすることで、相手を困らせてしまうかもしれません。

 話が盛り上がった流れで聞くのであれば、「パートナーはいますか?」と聞くのがいいですね。

要注意質問2 「私、何歳に見えます?」

吉井:次に、「私、何歳に見えます?」といった、自分の個人情報を質問するタイプのもの。答えるほうは気を使ってしまいますよね。実年齢より上を言ったら怒られるし、下に言い過ぎても怒られる。どう答えてもいい空気にはなりません。

「何の仕事をしていると思います?」「血液型は何型に見えます?」というのも同じです。

 こういう質問は相手を困らせてしまう質問なんです。

 自分が相手にどういう印象で見られているのか気になるのはわかりますが、相手を困らせてしまうと逆効果ですよね。

 自分だけが気持ちよくなるために質問をするのではなく、相手や周りの人みんなが気持ちよくなれるように話すというのが大人の会話のエチケットです。

要注意質問3 「年収、けっこういってますよね?」

── 一見、相手を立てているようだけれども、聞かれたほうはざわつく質問にはどんなものがあるでしょうか?

吉井:「年収けっこういっていますよね?」のように、お金のことを直接的に聞くのはあまり品がよくないですね。「すごくいい腕時計している~! ということは…年収けっこういっていますよね?」なんて、相手を立てているようだけれども、聞かれたほうは困ってしまう。そうではなく、「〇〇さんが企画した新商品、すごく評判いいですよね、△△のランキングに入ったって聞きましたよ?」といった質問から会話を広げるなら、相手も話したくなるでしょう。

要注意質問4 「キャリア志向なんですね?」

吉井:それから、「キャリア志向なんですね?」「意識が高いんですね?」のような、仕事や生き方に対する姿勢を決めつけるような質問。

 キャリア志向や意識が高いといった言葉自体はいいのですが、そうやって聞かれると「そんなつもりではないんだけど…」とモヤモヤしますよね。決してほめられている感じはしないと思います。

 それは、聞き手のコンプレックスや拗ねた気持ちが見え隠れするからではないでしょうか。「私にはできないことをやっていて、いいわね」。あるいは、「キャリア志向なんですね?(笑)」というような、ちょっと小ばかにした気持ち。本当に素敵だと思っていたら、こういう質問にはならないはずです。

仲良くなりたい人と自然に打ち解けられる質問とは

──もっと仲良くなりたい人に、プライベートなことを聞くときのコツって何かありますか?

吉井:私は、仲良くなりたいからこそ、浅いところから聞きます。何が地雷になるかは人によってさまざまなので、「当たり障りがないけれども、その人らしさが見える質問」から徐々に距離をつめていく感じです。

 たとえば、「10代の頃に好きだった曲や歌手って何ですか?」「好きな漫画は何ですか?」というように、好みを質問します。「好きなものはなんですか?」とザックリしすぎた質問だと「うーん、何だっけ?」と迷って答えにくいので、ジャンルを絞って聞くのです。プライバシーが入らないし、答えやすく会話も広げやすいからおすすめですよ。

──好みを聞いてもらえるのっていいですね!「お休みの日は何していますか?」のような質問はちょっと違いますか?

吉井:休みの日に何をしているかというのは、好きな音楽や漫画の話とは違って「私の話」ですよね。初対面や、まだ関係性がうすい間は「私の話」に踏み込むのでなく音楽や漫画、映画等の「作品」の好みの話をしたほうが盛り上がりやすいと思います。

 それに、休みの日について聞かれると人はついズボラな自分をイメージして「遅くまで寝て、起きたらYouTube見てる…って言いにくいから何て言おうかな~」と会話が止まってしまいがちなんですよね。もっと親しくなってから聞いたらいいと思いますよ。

【飲み会、懇親会で】相手と一瞬で打ち解けられる「超万能の質問」吉井奈々(よしい・なな)
一般社団法人JCMA代表理事、コミュニケーション講師
企業や教育機関でコミュニケーション講師として活躍。15年間にわたって約7万人に「心を大事にするコミュニケーション」を伝えている。
出生時に割りあてられた性別は男性だったが、性別適合手術を受けて戸籍を女性に変更し、現在は男性と結婚。自身の生き方と経験から、さまざまな立場の人の気持ちを汲んだコミュニケーションが得意。
日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エムなど多くの省庁や企業で講演や研修を担当。現場で使えるコミュニケーションスキルやマネジメントの考え方は再現性が高いと評判で、大手コンビニチェーンでの講演は「また来年も聞きたい講演会ナンバーワン」に選ばれる。著書に『オトナ女子のすてきな語彙力帳』など。
【飲み会、懇親会で】相手と一瞬で打ち解けられる「超万能の質問」