9日実施されたフィリピン大統領選では、長期独裁政権を敷いたマルコス元大統領の息子であるフェルディナンド・マルコス・ジュニア氏(64)が歴史的な勝利を収めた。得票数は対抗馬のおよそ2倍、かつフィリピンで民主主義が復活した1986年以来最大という圧勝ぶりだった。マルコス氏に対しては、どのような大統領を目指すのか、明らかにするよう圧力が高まっている。反対派は、36年前に市民蜂起で政権を追われるまで父がやっていたように、同氏も権力を乱用してマルコス一族の敵に政争を仕掛け、側近を追及から守り、関係者の懐を増やすことになりかねないと恐れている。何より、これまで強硬派のポピュリスト(大衆迎合主義者)、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領の下で波乱の6年間を余儀なくされてきたフィリピンにとって、民主主義の将来がかかっていると話している。ドゥテルテ氏を巡っては、裁判所を使って批判派を封じ込め、独立系メディアを弾圧するとともに、徹底した麻薬撲滅対策の名の下で人権侵害が横行したとの批判が上がっている。