中国の株式市場は急落し、資本流出が加速している。ぐらつく不動産セクターは重債務に苦しんでいる。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げに着手した。人民元は4月下旬以降、対ドルで5%下落している。記憶力のいい人々であれば、こうした全てを見て思い出すのは、中国金融市場がここ10年で最も激しく変動した時のことだろう。2015年から16年にかけて、人民元は約10%下落。中国の外貨準備高は1兆ドル近く減り、不動産・産業部門の債務危機をぎりぎりで回避した。歴史が繰り返されようとしているのだろうか。そうとも限らない。中国は2015年の危機後、資本流出に対する規制を大幅に強化し、鉄鋼・石炭業界の債務漬けもほぼ解消された。さらに、前回の中国人民銀行(中央銀行)との競り合いで完敗を喫した人民元の空売り筋は、少しばかり用心深くなっているかもしれない。しかし、前回は存在しなかった逆風も、いくつか中国に吹き付けている。そのうち最も重大なのは、慎重姿勢を格段に後退させそうなFRBだ。