株価下落率70%、インフレ率20%の世界がやってくる!佐藤隆太郎(さとう・りゅうたろう)
2000年生まれ。京都大学経済学部経済経営学科3回生。高校時代に塾の恩師からの勧めで投資に興味を持つ。大学に入学してから『伝説のファンドマネージャーが教える株の公式』を読み、明確かつ洗練された投資のルールに衝撃を受ける。林氏を師と仰ぎ、投資初心者の立場から「林則行さんファンクラブ」を立ち上げ、会員をはじめ、ひとりでも多くの人を経済危機から守るための活動を行っている

佐藤 金利の上昇はどのように始まるのでしょうか?

 すでに始まっています。最初は物価の上昇に合わせて金利が上がっていきます。この段階では経済上ごく自然なことで、問題はありません。ところが、金融市場はギャンブルの場になっていますから、金利を上げること(=債券価格を下げること)で大きな利益を上げようとする人たちが優勢になることがあります。すると、実勢以上に金利が上がってしまうことになります。

 市場は「政府は本当に返せるのか?」とさらに疑心暗鬼になるでしょう。そうなれば国債はさらに売られるでしょう。その場合、「政府には借金を返す能力はもうない」と判断することになるでしょう。

佐藤 日本の財政は借金まみれだというのは有名な話ですね。

 これまでは長期金利の低下が続いてきたので、利払いも減り続けてきました。だから政府も平気だったのです。

 2000年度に368兆円だった国債残高が2021年度には3倍弱の990兆円にまで増えました(図表参照)。金利水準が変わらないなら利払いは3倍弱になるはずなのですが、実際は利払い10兆円が8.5兆円に減っています。

 仮に金利が2%も上昇するような事態になると、最終的に利払いは20兆円増になります。

佐藤 金利の上昇(インフレの発生)には、どのくらいの月日がかかるのでしょうか?

 いったん市場が懐疑心を抱けば、短期間で金利は上がっていきます。欧州金融危機の際、イタリアの長期金利は3.9%から7.1%にまで上昇しました。14カ月間の出来事でした。一方、ギリシャの金利が4.6%から29%に上昇するのにかかった期間は28カ月でした。