株式投資について学び始めた京大生が、経済の行方やマーケットについて、伝説のファンドマネジャーといわれる林則行氏(アブダビ投資庁の元ファンドマネジャー)に指南を受けた。そのやりとりを1冊の本にまとめたのが『投資初心者の大学生が伝説のファンドマネジャーに聞く 世界が大不況でも資産を増やせるって本当ですか?』だ。今回は同書の刊行を記念して、内容の一部を特別公開!

株価下落率70%、インフレ率20%の世界がやってくる!Photo: Adobe Stock

株の下落より怖い
インフレの発生

株価下落率70%、インフレ率20%の世界がやってくる!林 則行(はやし・のりゆき)
世界最大の政府系ファンド、アラブ首長国連邦アブダビ投資庁の元ファンドマネジャー。当時、日本人で唯一、中東でオイルマネーを運用した投資のプロ。米国コロンビア大学ビジネススクールにてジム・ロジャーズの薫陶を受ける。米国公認会計士。著書に『伝説のファンドマネージャーが教える株の公式』『伝説のファンドマネージャーが実践する株の絶対法則』(共にダイヤモンド社)、『金はこれから2倍になる』『伝説のファンドマネジャーが教える 図解 株の暴落サインを見抜く方法』(共に宝島社)などがある。

佐藤隆太郎(以下、佐藤) 今後、どのような事態が待ち受けていると考えるべきでしょうか?

林則行(以下、林) ぼくの予想は次のとおりです。危機は数年以内に株価の下落から始まるでしょう。

・株価下落率 70%
・インフレ(金利の上昇) 20%
・失業率 20%
・経済縮小幅 10%

佐藤 あまりにひどいとしかいいようがありません。このなかで、最初に始まる悪い動きは何でしょうか?

 株価の下落です。物価が上がると企業収益が悪化し、上昇を続けている株価が天井を打って下落し始めます。

佐藤 先ほどの項目のなかで最も過酷なものを挙げるとすると、どれになりますか?

 インフレ(金利の上昇)です。

 株価の下落だけなら、これまでも起きてきたレベルです。日本は1990年代に株価が8割下がり、タイでは9割下がりました。米国でもリーマンショックで6割下げています。暴落時は大変でしたが、何とかやり抜きました。ありがたいことに金利の上昇は起きませんでした。

 ところが、金利が上がり始めると、話は違ってきます。これまでにないような失業者数の増加も経済縮小も一緒にやってきます。借金が多くなってしまった今、株価の暴落には金利上昇(債券暴落)がセットでやってくるのは避けられないでしょう。