株式投資について学び始めた京大生が、経済の行方やマーケットについて、伝説のファンドマネジャーといわれる林則行氏(アブダビ投資庁の元ファンドマネジャー)に指南を受けた。そのやりとりを1冊の本にまとめたのが『投資初心者の大学生が伝説のファンドマネジャーに聞く 世界が大不況でも資産を増やせるって本当ですか?』だ。今回は同書の刊行を記念して、内容の一部を特別公開!
戦後最大の大不況
リーマンショックからどうやって立ち直ったのか
世界最大の政府系ファンド、アラブ首長国連邦アブダビ投資庁の元ファンドマネジャー。当時、日本人で唯一、中東でオイルマネーを運用した投資のプロ。米国コロンビア大学ビジネススクールにてジム・ロジャーズの薫陶を受ける。米国公認会計士。著書に『伝説のファンドマネージャーが教える株の公式』『伝説のファンドマネージャーが実践する株の絶対法則』(共にダイヤモンド社)、『金はこれから2倍になる』『伝説のファンドマネジャーが教える 図解 株の暴落サインを見抜く方法』(共に宝島社)などがある。
佐藤隆太郎(以下、佐藤) 戦後最大の不況となったリーマンショックから、どうして立ち直ることができたのでしょうか?
林則行(以下、林) お金の力です。政府は「民間では経済全体を引っ張る力が十分ではない。だったら、政府が直接舵取りをしよう」と発想しました。これが量的緩和です。従来の超金融緩和をさらに進めたものです。
佐藤 量的緩和はそれまでの金融緩和と何が違うのでしょうか?
林 スケールです。“火事場の馬鹿力”という言葉があります。車の下敷きとなった息子を助けるために車を持ち上げるような、非常時に特別の力が出ることを指す表現ですよね。リーマンショックのときの政策がまさにそれです。
「1929年の世界恐慌に肩を並べる恐慌が近い」と人々が噂するようになったのですから、それを避けるために死に物狂いでした。米国はまさになりふりかまわないやり方で景気の引き上げを図りました。しかも、世界中でそれが起きました。
佐藤 具体的には、どのようにお金を撒いたのですか?