ストレスが少ない人が多いと少ない県
「休む意識」に差

 ランキング上位地域にはどんな特徴があるのか。他の調査項目の回答と併せて分析すると、いくつかの傾向が指摘できた。

 まずランキング上位、「ストレスの少ない人(低ストレス者)」が多い地域にはどんな特徴があったのか。今回のランキングで1位となった長崎県では、他の地域に比べて「疲れているときに休む意識が高い」傾向が確認できた。これは男性版のランキングで1位となった茨城県と同じ傾向だ。

 また長崎県では、「コロナ禍で睡眠の質や量が向上した」と答えた人も多かった。

 そのほかのランキングの上位県でも、長崎県と同様の傾向が見られた。2位の鳥取県では「コロナ禍で睡眠の質や量が向上した」人が多かった。また、3位の宮崎県では、長崎県と同じく「疲れているときに休む意識が高い」傾向がある。

 続いて、全国のデータを基に、さらに詳しく見ていこう。

 年代別にストレスレベルごとの含有率を見ると、20~30代で高ストレス者が20%を超えており、年を重ねるほど高ストレス者は減少傾向にあることが分かる。20代では、高ストレス者と高ストレス注意者(63~76点)を合計すると全体の半数を占める。これは男性と同じ傾向だ。

コロナ禍の影響は?
高ストレス者の多数「休養の質・量が悪くなった」

 また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、私たちの生活は大きく変わった。日々の仕事や暮らしに制限が生じたことで、ストレスを感じた人も多いだろう。実際、新型コロナウイルスが流行する前とその後で比べるとストレス状態にはどんな変化があったのか。

 ストレスレベルごとの含有率をコロナ前の2019年の調査と比較すると、ストレスが多いことを示す高ストレス者(77点以上)の割合は19年には15.6%だったが、21年には16.3%となっている。男性における変化と比べるとその差は小さいが、わずかに増加していることが分かる。一方で、ストレスの少ない「低ストレス者(39点以下)」は19年が8.8%、21年が8.3%でこちらもわずかに減少した。

 コロナ禍では、社会や人とのつながりにも変化が生じ、こうした変化がストレス状態に与える影響も大きかったといえる。以下の表では、コロナ禍で社会や家族とのつながりがどう変化したかについて、高ストレス者、低ストレス者それぞれの回答をまとめた。

 これを見ると、ストレスレベルに関係なく、「家族以外の友人、職場の同僚、その他社会団体の人々との交流」については、悪くなったと感じる人が多いことが分かる。コロナ禍で孤独社会の傾向が強くなったといえる。

 一方で、「パートナーとの関係、スキンシップ」「やるべき役割や目標の実現度」「会社・職場とのつながり」については、高ストレス者と低ストレス者で異なる傾向が見られた。高ストレス者では、いずれも「良くなった」と答えた人に比べて「悪くなった」と答えた人の割合が高くなっている。また、悪くなったと答えた人の割合は、低ストレス者と比べて非常に高いことが分かる。特に、「パートナーとの関係、スキンシップ」「やるべき役割や目標の実現度」が悪くなったと感じている人の割合について、高ストレス者と低ストレス者の違いが顕著だった。

 続いて、健康的な生活には欠かせない休養、食事、運動などの習慣について、コロナ禍における変化を見ていこう。厚生労働省の定める「健康作りの3要素(休養、栄養、運動)」に関する変化を、ストレスレベル別にまとめた。

 高ストレス者では、全ての項目で「良くなった」と答えた人に比べて「悪くなった」と答えた人の割合が高かった。休養の質・量については、睡眠、睡眠以外ともに悪くなったと答えた人が半数を超えた。高ストレス者の多くが、十分な質・量の休養を取れていないと感じている。

 コロナ禍3年目、変わった生活スタイルに徐々に慣れてきても、やはり人と会いづらかったり、運動不足になりがちだったりする中で気付かぬうちにストレスを抱えていることもあるだろう。十分な休養を取り、体をリフレッシュできるよう工夫してみよう。

(本記事は一般社団法人日本リカバリー協会からの提供データを基に制作しています)

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