石油元売り3社が過去最高益
1兆円もの補助金は必要なのか
原油高騰の中で、2021年度の大手石油元売り3社の最終利益が、いずれも過去最高益を更新した。具体的には、ENEOSホールディングス(HD)が5371億円、出光興産が2795億円、コスモエネルギーホールディングスが1389億円だった。
政府は高騰するガソリン価格を抑えるため、1月末から通称「ガソリン補助金」を実施してきた。予算規模1兆円もの税金を投じている補助金の仕組みを端的に言うと、給付先は石油元売りで、給付を前提に卸価格を抑え、結果として小売価格が抑制されるというスキームだ。
その元売りが過去最高益と聞けば、違和感を通り越して「不愉快さ」を口にする人すらいる。補助金は、今年度上半期は継続する見込みだ。しかし、はたして本当に必要なものなのか。今のやり方のままでいいのか。石油流通を専門とする筆者は甚だ疑問である。
次ページからは感情論ではなく、3社の決算データの分析と複数の仮説に基づいて検証していく。そこから浮かび上がってきたのは、日本の石油業界がいかに世界の常識からかけ離れているか、「競争の番人」であるはずの公正取引委員会が作り出した“いびつな寡占市場”という大問題である。
まず、石油元売りの利益構造はどうなっているのか。ENEOS HDの利益構造分析および大手3社の業績比較から始めよう。