自民党「積極財政派」議連が新提言、骨太の方針の議論に一石投じるかPhoto:PIXTA

「経済財政運営と改革の基本方針2022」、いわゆる「骨太の方針」の取りまとめに向けて、緊縮財政派と積極財政派の攻防が激しくなってきているようだ。そんな中、「責任ある積極財政を推進する議員連盟」が提言を取りまとめた。その全貌を明らかにする。(政策コンサルタント 室伏謙一)

緊縮財政派と積極財政派の攻防が激化
プライマリーバランスの黒字化は盛り込まれるのか

 6月の「経済財政運営と改革の基本方針2022」、いわゆる「骨太の方針」の取りまとめに向けて、緊縮財政派と積極財政派の攻防が激しくなってきているようである。といっても、自民党内の緊縮財政派と積極財政派の対立のことではなく、是が非でも「2025年にプライマリーバランス(PB)を黒字化」という目標を骨太の方針に盛り込み、緊縮財政を進めたい財務省と、両派がしっかり議論している自民党との攻防のことである。

 ある大手メディアは、自民党政調会長直下に設置された財政政策検討本部と、総裁直下に設置というより移管された財政再建推進本部との間で対立があるかのような論調で書き立てていた。しかし、後者は事実上緊縮財政推進本部だとしても、前者は積極財政派のみならず緊縮財政派も参加して、今の日本に求められる必要な財政政策は何かについて、専門家の意見も聞きつつ検討を進めてきたのであり、当然意見の相違はあっても、対立と呼ぶようなものではなかったようである。

 一方財務省は、確実に「2025年プライマリーバランス黒字化」目標を骨太の方針に盛り込むべく、自民党議員の説得、いわゆる「ご説明」に奔走していたようであり、自民党の提言の取りまとめにも深く入り込もうとしていたようだ。

 そうした中で、その財務省の責任者である小野平八郎総括審議官が東急田園都市線内で他の乗客に暴行を加えた容疑で逮捕された。こうした動きと関係があるのではないかとの臆測も呼んだようだが、真相は不明だ。ただ、この一件で財務省の動きは、一時的であるにせよ、多少は鈍くなるかもしれない(程なくしてまた元に戻るのだろうが)。

議連が高市政調会長に提言を提出
その全貌とは?

 さて、こうした政府や自民党内の動きに先んじて、2月9日に設立され、精力的な活動を続けてきた「責任ある積極財政を推進する議員連盟」が、「骨太の方針2022に向けて―『新しい資本主義』を稼働してGDP600兆円を早期に達成するための提言」を取りまとめ、5月10日、高市早苗政調会長に提出した。