黒田東彦・日本銀行総裁日本銀行の黒田東彦総裁 Photo by Ryosuke Shimizu

日本銀行の黒田東彦総裁の任期満了まで1年を切り、水面下で後任を巡る観測が渦巻き始めた。そこで、関係者への取材に基づき判明した、本命やダークホースを含む候補者の具体名を公開するとともに、後任によって日銀がどう動くのかのシナリオを分析。日本経済の要となる「為替、金利、景気」の行方を大きく左右する、次期正副総裁の金融政策の読み筋をひもといた。そこからは、どの候補がなっても任期中に実施される可能性が高い、ある策の存在も浮かび上がってきた。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

正副総裁の任期切れまで1年弱
審議委員人事に後任の「ヒント」

“バズーカ砲”と称された「異次元緩和」決定から約10年を迎える2023年4月8日。日本銀行の黒田東彦総裁が任期を迎える。人選の本格化は7月の参院選後の見通しだが、歴代最長となる2期10年の任期切れまで1年を切り、水面下では後任を巡る観測が渦巻いている。

「超金融緩和」を行ってきたことの副作用が懸念される中、次期総裁は日本経済の浮揚とのバランスを取りながら、出口戦略を模索するという難解なかじ取りを担うことになる。

 そんなバトンを誰が受け取るのか。実はヒントが、3月に明らかとなった審議委員人事に見て取れる。この人選を踏まえ、界隈では、総裁後任の有力候補が既に「2人に絞られた」との見方がもっぱらだ。一方、日銀マンが恐れるダークホースの存在も――。同時期に併せて後任が決まる、ダブル副総裁の行方にも要注目だ。

 次ページでは、関係者への取材を基に判明した、本命とダークホースを含む候補者の具体名を公開するとともに、それぞれの後任によって日銀がどう動くのかシナリオを分析。日本経済の要となる「為替、金利、景気」の行方をも大きく左右する、次期正副総裁の金融政策の読み筋をひもといた。そこからは、どの候補がなったとしても任期の5年間で実施される可能性が高い、ある策の存在が浮かび上がってきた。