「野球とはどういう競技か」元大リーガー小宮山監督が早大野球部に説いたワケ5月15日(日)の立教戦、試合前に整列する選手たち 撮影:須藤靖貴

早大野球部の2022年シーズン春季リーグは不本意な結果が続き、優勝を逃した。最終の早慶戦はいわば消化試合。それでも小宮山監督は、部員を集めて叱咤(しった)した。「野球がどういう競技なのか、知っているか?」と問いただし、その上で「我慢」の大切さを説いた。薫陶を受けた早大野球部は、自らの真価が問われる伝統の早慶戦へ臨む。(作家 須藤靖貴)

「野球がどういう競技なのか、知っているか?」
小宮山監督が部員を集めて語ったこととは

 早稲田の杜に隣接するリーガロイヤルホテルのラウンジ。5月23日、月曜日の午後のことである。

 明治大が立教大を下して優勝を決めたそのとき、早稲田大・小宮山悟監督は週末の早慶戦への展望を語った。そして、不本意となってしまった春季リーグ戦のここまでのレビューも。

「言い訳のしようがない」とは言うものの、その語気は強かった。

 立教に連敗した後のスタッフミーティングで、小宮山は部員にこう言った。

「野球がどういう競技なのか、知っているか?」

 口調は穏やかだが、内容は辛辣(しんらつ)そのものである。

 攻撃側のバッターが出塁し、ホームベースに戻れば1点が入る。守備側はそれをなんとか阻止する。9回を終えて、1点でも多く得点したチームが勝つ――。自明のことを、小宮山は視線を据えて早稲田大野球部員たちに話したのだ。

「野球は採点競技じゃないんだ。快音を残して打ったクリーンヒットと、ボテボテの内野ゴロで一塁セーフのヒットと、どちらも同じだろ」