Q 老眼鏡をかけると老眼が進むというのは本当ですか?
A それは都市伝説のようなものですよ。多くの人は、老眼になったことを自覚したくなくて、老眼鏡をかける時期をできるだけ遅らせたりします。そして、どうしようもなくなった頃に、やっと弱めの老眼鏡をかけ始めるので、すぐに強めの老眼鏡が必要になると、グッと進んだような気になるのでしょう。
見えにくい状態で生活を送っていると、目に疲れがたまりますし、集中力も衰えます。「小さい文字が見えづらい」と感じたら、早めに老眼鏡や遠近両用のメガネを活用したほうがいいです。
最近では、メガネのレンズも進化していますから、昔のように度数の違うレンズを2枚組み合わせた境目のあるものではなく、境目がなく快適で外見上、遠近両用とは気づかれないものがあるのでおすすめです。遠近両用のコンタクトレンズも非常に使いやすく改良されていますから、そちらを使ってみるのもいいでしょう。
私のクリニックでは、性能がよいと判断したメーカー2社の使い捨てワンデータイプの遠近両用コンタクトレンズをすすめていますが、とても評判がいいですよ。老眼ではないのに、近くを見ているときだけ「なんだか見え方がおかしい」ということに気づく患者さんがときどきいます。
一般的にはあまり知られていませんが、緑内障で病気が重症化したとき、近くを見ているときだけ異常を感じる患者さんがいます。緑内障は視野が欠ける病気として知られていますが、実際に「視野欠損」を自覚する人は、とても少ないです。
しかし、近くを見ているときに、文字の一部が見えづらいとか、見ている文字の周りの文字が見えにくいということには気づける人がいるので、緑内障の発見に大いに役立っています。私は「こういうときは、どう見えますか?」と細かく質問しながらお話しすることが多いので、患者さんの見え方にいろいろと気づきます。
●老眼になるには早い年齢なのに、小さな文字が見えにくいと感じたら、緑内障が進行している可能性も
* 老眼の可能性が低い年代なら眼科を受診
※本稿は、『ハーバード × スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25』より一部を抜粋・編集したものです。