「デジタルデバイスのモニターは常に点滅しています。私たちはモニターを見ているときに無意識のうちにまばたきを減らして、目を凝らしているのです。まばたきが減れば、当然目も乾きますよね。そして三つ目の『コンタクト』には、目の水分を奪うという特徴があります。本来涙がある場所にコンタクトがあるので、装着中は常に目が乾きやすい状態といえます」

 そして、これら3つのコンに加えて最近問題視されているのが、マスク関連ドライアイだ。

「呼気は湿気を含むので潤っているように感じますが、呼気は“風”です。マスクをしている最中は、常に扇風機の前で目を開けているのと同じ状態なので、目を保護する涙も蒸発しやすくなる。その結果、目が乾いてドライアイを悪化させるといわれています」

 事実、マスク生活が根付いたコロナ禍以降、平松氏のもとを訪れるドライアイ患者も増えているという。ただ、マスクだけが原因ではなく「コロナ禍の特殊な状況も影響している」と、平松氏。

「巣ごもり生活中に、映像配信サービスを利用したり、スマホゲームをしたりして、デジタルデバイスのモニターを見つめる時間(スクリーンタイム)が長くなっています。こうしたことも、ドライアイに悩む人の増加につながっていると思います」

 このように、ドライアイの発症・悪化は、個人の生活習慣や周辺環境に左右される。そのため平松氏は「ドライアイは生活習慣病と捉えてほしい」と話す。

ドライアイは
頭痛や肩こりの原因にも

 多くの人はドライアイの症状について「目が乾く病」というイメージを抱いているかもしれない。しかし実際には、多様な症状を示す疾患だという。

「あまり認知されていないのが、ドライアイ由来の眼精疲労からくる“頭痛や肩こり”です。たとえば、パソコン作業中に目が乾くと、視界がかすんだり、ぼやけたりするので、見えにくい画像を脳内で処理しなければなりません。その際、多くのエネルギーを使うため、脳や肩にも大きな負担になります。日々の目の疲れがほかの器官に現れた状態を眼精疲労といいます」

 眼精疲労は目だけの疲れではなく、全身に症状が現れるのが特徴だ。十分な睡眠を取っても目の疲れが解消されない人は「眼精疲労」を発症している可能性が高いという。重い頭痛に悩んでいた人が眼科でドライアイの治療を受けると頭痛の症状が軽くなる、というケースも多いという。