そして「涙の質を高めるのも重要なドライアイ対策になる」と、平松氏。

「涙の質は、食事によって高めることができます。DHAやEPAなど『オメガ3脂肪酸』と呼ばれる油は涙の質を上げる働きがあるので、それらが含まれているサバやマグロなどの魚類を積極的に取りましょう。また、まぶたにある『マイボーム腺』を温めるのもおすすめ。ホットアイマスクや、40℃前後に温めたホットタオルをまぶたに乗せると、マイボーム腺から油がスムーズに分泌されます」

 さまざまな対策をしても症状が緩和されないときは、眼科を受診するべきだろう。涙の質を改善する目薬を処方してもらえるという。

「『ドライアイは一度かかると治らない』というイメージを抱いている人もいるかもしれませんが、生活習慣の改善によって治療できる疾患なんです。ただし、ドライアイによる眼精疲労に至ってしまうと自力で治すのは難しいので、気軽に医療機関を受診してみてください」

 ドライアイはマスクやデスクワークなど、多様な要因が絡み合って発症する。まずは自分の生活を見直して、原因を取り除くのが先決だ。

監修/平松類(ひらまつ・るい)
眼科専門医・医学博士。昭和大学医学部卒業後、全国各地の病院に勤務し、彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長を経て、現在は二本松眼科病院で副院長を務める。YouTubeでは「眼科医平松類チャンネル」上にて毎日目の病気に関する情報を発信中。『眼科医だけが知っている一生視力を失わない50の習慣』(SB新書)、『患者が絶えないカリスマ眼科医がやっている 失明しない習慣』(小学館)など、著書多数。

■情報ソース
・画面の点滅とドライアイの関係
https://www.nature.com/articles/s41598-018-31814-7

・ドライアイによる生産性の低下
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24184225/

・VDT作業とドライアイの関係
https://cir.nii.ac.jp/crid/1573950401126787840