ある中国系企業が昨年、英国の無名の半導体工場を買収した。米政府がこれを問題視し、英国が調査に乗り出したことで、この買収が撤回される可能性が浮上している。中国半導体メーカーのオランダ子会社は昨年7月、ウェールズにある半導体工場を買収した。クワシ・クワルテング英ビジネス・エネルギー・産業戦略相は先週、この件を巡り国家安全保障上の審査を開始した。水面下では、在ロンドン米国大使館の外交官が数週間前から、同工場を取り返せば英国が電気自動車(EV)に欠かせない半導体製造の一大拠点になれるかもしれないと英当局者に説いていた。会話の内容を知る関係者が明らかにした。この外交官は英高官に買収の撤回は求めなかったが、それが米国の望みであることを明白だったという。英国はこれに先立ち、外資による買収案件を国家安全保障上の理由で審査できる新たな権限を整備しており、過去の事例も対象となる。今回の件は、この規定に沿った初の大規模調査の一つとなる。