ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
ウズベキスタンってどんな国?
ウズベキスタンは中央アジアに位置する乾燥した内陸国で、東部にはパミール高原に連なる高地、西部から中央部にはキジルクーム砂漠が広がります。
ソ連時代の1960年代に中央アジアにおける綿花栽培を目的とした大規模な灌漑・土地改良事業(自然改造計画)が実施された結果、ウズベキスタンの乾いた大地は広大な綿花畑になり、ソ連全体の約65%の綿花を生産するまでになりました。
1991年の独立後、経済変動の影響を受けやすい単一作物生産からの脱却を目指していますが、現在でも綿花生産は76万t(世界第8位)と、輸出農産物の16.2%を占めます(2018年)。
10分の1にまで縮小したアラル海
かつて世界第4位の面積だったアラル海の湖面は、現在では約10分の1に縮小しました。
アラル海は、東部山岳地帯から流れ込むアムダリア川・シルダリア川によって豊かな水量を誇っていましたが、1960年代半ば以降に灌漑用水の取水が本格的に始まると、急速に面積が縮小しました。
1970年代末には漁獲量はほぼ皆無になり、1990年代末にはほとんどの水生生物が生息不能な環境にまで塩分濃度が上昇しました。
アラル海の復活に向けて水位調整堰建設などの対策が採られていますが、ソ連崩壊後、アラル海問題は「国内問題」から独立した流域国の水資源分割を巡る「国際問題」となり、各国の利害対立を調整することは容易ではありません。
ウズベキスタン共和国
面積:44.7万㎢ 首都:タシケント
人口:3084.3万 通貨:スム
言語:ウズベク語(公用語)、ロシア語、タジク語
宗教:イスラーム88%(ほぼスンニ派)、東方正教会9%
隣接:カザフスタン、キルギス、タジキスタン、アフガニスタン、トルクメニスタン
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)