ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「モルディブってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

モルディブってどんな国?

 スリランカの南西約700㎞に位置するモルディブは、26の環礁や約1200の島々からなり、インド洋に浮かぶ「島々の花輪」と呼ばれています。

 12世紀にアラブ人がイスラームを伝えて以降イスラーム国家として成立し、その後ポルトガル、オランダの統治下に入り、1887年にイギリスの保護領となりました。1965年に主権国家として独立し、1968年にはスルタンによる世襲王制を廃止し共和国に移行しました。

 食料や工業製品の大部分を輸入に頼っているため、輸出1.8億ドルに対して輸入29.6億ドルと大幅な輸入超過となっています(2018年)。輸出を支えるのが、マグロ・カツオ漁業と水産加工業で、輸出総額の約60%以上を占めます。

温暖化による海面上昇で、国土消滅の危機に瀕する

 経済の屋台骨を支えているのが観光業で、GDPの約20%を占めます。

 サンゴ礁に囲まれた美しい海洋リゾートの開発が始まったのは1972年で、一つの島に一つのリゾートホテルのみ建設するという開発方法を採りました。2018年には中国ドイツイギリスなどから約150万人の観光客を迎え入れました。

 しかし、最高海抜が2.4mの平坦な地形であるため、温暖化による海面上昇で国土は消滅の危機に瀕しており(海面が1m上昇すると国土の約80%が失われる)、観光業への影響は計り知れません。

モルディブ共和国

面積:298㎢ 首都:マレ
人口:39.1万 通貨:ルフィア
言語:ディヴェヒ語(公用語)、英語
宗教:イスラームスンニ派(国教)

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)