ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
キルギスってどんな国?
キルギスは中央アジアに位置し、北はカザフスタン、東は中国、南はタジキスタン、西はウズベキスタンに囲まれた内陸国です。
国土の大部分を天山山脈とその支脈アラトー山脈が占める山岳国家(約90%が標高1500m以上)です。国土に占める農地は7%にすぎず、森林面積も4%しかありません。
主要産業は鉱業と農業(小麦・綿花・タバコ等)・畜産業で、とりわけ金生産は全輸出額の約半分を占めます。なかでもクムトール金鉱山は国内金生産の97%を占め、同鉱山のGDPに占める割合は約10%に上ります(2019年)。
ソ連崩壊後、1991年にキルギスタン共和国として独立し、1993年に現在のキルギス共和国に国名を改称しました。
独立後は、貧弱な経済基盤を補うため、中国から輸入した食料品や化学繊維製品をロシアやカザフスタンへ再輸出したり、ロシアへの出稼ぎ労働を行ったりするなど、モノや人を動かすことで収入を得てきました。
とくに、ロシアを中心とした海外出稼ぎ収入は、GDP比で28.6%にも上ります(2019年)。
中国への経済依存が高まる
一方、自国内の産業振興は遅れています。そのような中で存在感を増しているのが中国です。
中国は、2015年には輸入相手国としてロシアを抜いて第1位となり、道路や発電所、パイプライン建設などのインフラ投資を中心に結びつきを強めています。
その結果、対中債務は対外債務全体の46.2%を占め、中国への経済依存度が高まっています(2019年)。
キルギス共和国
面積:20.0万㎢ 首都:ビシュケク
人口:601.9万 通貨:ソム
言語:キルギス語(公用語)、ロシア語
宗教:イスラーム90%(スンニ派が多数)、キリスト教7%
隣接:ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、中国
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)