5月9日に迎える
ロシアの対独戦勝記念日
ロシア軍によるウクライナ侵攻から2カ月を迎えようとしている。ロシアのプーチン大統領は4月12日、盟友であるベラルーシのルカシェンコ大統領を伴った極東アムール州のボストーチヌイ宇宙基地での会見で、ウクライナでの侵攻計画を計画通りに実行する考えを強調し、「(軍事作戦での)目標達成は疑いない」と自信を示した。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領も、4月10日の夜、国民向けの動画演説で、「我々はより活発に武器を補給し、ロシア軍のすべての攻撃に備える」と述べ、徹底抗戦する姿勢を改めて強調した。
ロシアでは、5月9日に対独戦勝記念日を迎える。ロシア国民が、旧ソ連の勝利を象徴する「ゲオルギーのリボン」を胸に着け、愛国心と祝典の高揚感に浸る特別な日だ。
たとえ、この場で、プーチン大統領による何らかの勝利宣言があったとしても、少なくともウクライナ東部、ドンバス地方の完全制圧が終わるまでは戦闘は続くということだ。同時に、一度は撤退した首都キーウ(キエフ)への再侵攻がないとも言い切れない。
筆者はこれまで、1991年の湾岸戦争以降、ボスニア紛争、アメリカ同時多発テロ事件、そしてイラク戦争と、歴史に残る戦争や紛争を取材してきた。
それらの経験則から言えることは、「戦争当事国に勝者はいない」ということである。