UEFAは他大陸の代表チームとの国際親善試合より、ヨーロッパ大陸内での真剣勝負を介して強化を図る道へかじを切った。第1回をポルトガル、第2回をフランス両代表が制したネーションズリーグは、今回の6月の国際Aマッチデー期間から第3回がスタートした。

 6月の国際Aマッチデー期間は各国とも最大4試合をマッチメークできる中で、ヨーロッパの強豪国は全てネーションズリーグを戦っている。CBFも当初、イングランド代表とのマッチメークに動いたが、日程に空きがないという理由で断りを入れられている。

 UEFAに倣うように、北中米カリブ海サッカー連盟も6月からネーションズリーグを新設。さらにアフリカサッカー連盟も、来夏にコートジボワールで開催される2年に一度のビッグイベント、アフリカネーションズカップの予選を6月からスタートさせた。

 つまり、強化マッチを組もうにも、対戦できる国はアジア、オセアニア、そして南米勢に限られる状況だった。しかし、今年3月までカタールワールドカップ予選を戦ってきた南米勢と再び顔を合わせる選択肢は、宿敵アルゼンチン代表を除いておのずと排除された。

 実はそのアルゼンチンとの一戦が6月11日に、オーストラリア・メルボルンで組まれていた。

 昨年9月にサンパウロで行われたブラジル対アルゼンチンの南米予選第6節は、アルゼンチン側に新型コロナウイルスの検疫義務違反の疑いが浮上。開始わずか7分で中止になっていた。

 その後に両国ともカタール大会の出場権を獲得しているが、国際サッカー連盟(FIFA)は再試合を指示。中立地メルボルンを舞台に、カタール大会へ向けた強化を目指す南米サッカー界の2強によるビッグマッチ、という付加価値をつけてマッチメークされた。

 イングランド戦を断念したCBFはアルゼンチン戦から逆算する形で、FIFAの区分上ではオーストラリアと同じアジア大陸となる韓国、過去の対戦成績で10勝2分け、総得点34に対して総失点わずか5(全て6日の試合前時点)と攻守両面で圧倒している日本との連戦を組んだ経緯があった。

ブラジルとの親善試合で「莫大な出場料」
日本サッカー協会は3億円?

 ここで注目すべきは、ブラジル独特の国際親善試合のマッチメーク方法となる。

 ブラジル国内での国際親善試合は、原則として1年につき1回に限られている。他は全て敵地もしくは中立地で開催され、直近の日本との国際親善試合を例に挙げれば2012年にポーランドで、14年にシンガポールで、17年にはフランスでブラジルと対戦している。

 ブラジルは1930年の第1回ワールドカップから全大会に出場している唯一の国で、優勝回数も歴代最多の5度を数える。世界中で群を抜く知名度を介して対戦国のサッカー協会や、あるいは中立国のサッカー協会から莫大な出場料を得るビジネスが成立していた。

 近年では国際親善試合のマッチメークが、イギリスのマネジメント会社「ピッチ」に委託されるようになった。日本および韓国と同じグループに入らなかった4月1日のカタール大会の組み合わせ抽選会を経て、ピッチ社とJFAの交渉も本格化した。