森保ジャパンが苦しみながらも、7大会連続7度目のワールドカップ出場を決めた。序盤で黒星を先行させたアジア最終予選で、第4戦以降で6連勝をマークして歓喜の雄たけびを上げた。今秋に中東カタールで開催される本大会への楽しみが増してくる中で、素朴な疑問も浮かんでくる。選手たちは日本サッカー協会(JFA)から報酬を得ているのか。日本代表チームを巡る“お金”の事情を探った。(ノンフィクションライター 藤江直人)
破竹の6連勝でW杯出場決定!
ところでその報酬は?
初戦でいきなりつまずき、3戦目にして2敗目を喫しながら、4戦目以降では破竹の6連勝とV字回復。日本代表が挑んだアジア最終予選は波乱万丈に富んだ軌跡を描き、ベトナム代表との最終戦を残してカタールワールドカップ出場権を手にする大団円を迎えた。
キックオフ前から雨に見舞われた敵地シドニーのスタジアム・オーストラリアで、後半終了間際から投入されたMF三笘薫が5分あまりの間に2ゴールをゲット。宿敵オーストラリア代表を2-0で撃破した瞬間に最初の目標を成就させた。
勝てば最終予選突破が決まる大一番に備えて、事前に用意されていた特製シャツに身を包み、同じく特製タオルを広げながら満開になった選手やスタッフたちの笑顔には、さまざまなプレッシャーから解放された安堵(あんど)感も反映されていた。
カタール大会出場を逃せば責任を取って代表を引退する、と覚悟を決めていたキャプテンのDF吉田麻也は「ホッとしています」と本音を漏らし、さらにこう続けた。
「これでもう少し代表でプレーできる、と思いました」
肉体的にも精神的にも、まさにギリギリの状態でアジア最終予選を戦ってきた選手たちを心から祝福するとともに、ちょっとした疑問が頭をもたげてくる。日本代表の選手たちに報酬は支払われているのか。その場合はいくらなのか、と。
カズやラモスが待遇改善を訴え
代表選手に報酬が出るように
プロ化される前、アマチュア時代の日本代表は無報酬だった。代表監督自体が日本サッカーリーグに所属する企業チームから出向するケースがほとんどで、選手たちも有給休暇を取って代表活動に参加。遠征などの諸費用も自費でまかなっていた。
JFAが長く苦しめられてきた財政難も一因だった。もっとも、神様ペレの引退親善試合、ニューヨーク・コスモス対古河電工が超満員の旧国立競技場で開催された、1977年以降のJFAは赤字から脱却。代表選手への待遇も少しずつ改善され始めた。