2002年ワールドカップ日韓共催大会以来、サッカーブラジル代表が20年ぶりに来日した。改修後の国立競技場で日本代表と対戦した6月6日の国際親善試合は、1-0で“サッカー王国”ブラジルに軍配が上がった。約4年7カ月ぶりの対決を実現させるために、日本サッカー協会(JFA)が3億円もの出場料をブラジルサッカー連盟(CBF)へ支払ったとされるこの一戦。森保ジャパンが得た収穫や課題と、カタールワールドカップへ向けた強化試合を巡る世界のマッチメーク事情を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)
韓国・日本に連勝したブラジル代表
母国からは「冷ややかな視線」
韓国代表を5-1で一蹴した2日の初戦に続き、雨中の国立競技場で森保ジャパンを下し、アジアツアーを連勝で締めたブラジル代表へ、母国から冷ややかな視線が向けられている。
世界最高の年俸63億円を誇るエース、FWネイマール(パリ・サンジェルマン)が後半32分に決めたPKでようやく先制。そのまま逃げ切った試合内容に、CBFの公式ツイッター(@CBF_Futebol)には辛辣(しんらつ)なコメントが相次いで寄せられた。
韓国戦でも2つのPKを決めたネイマールは、PK以外の得点がない、という皮肉を込めて「恥」と糾弾された。スコア上では辛勝だった代表チームへは、失望感を募らせるツイートが数多く投稿された。いくつかを挙げれば次のようになる。
「恥辱という言葉を学んだ」
「このゲームは私たちを落胆させすぎた」
「日本に勝つために、チーム全体で苦労したことを恥じるべきだ」
ネガティブな視線は、アジアツアーが決まった4月下旬からCBFへ向けられた。11月開幕のカタールワールドカップ出場を決めてから初めて臨む強化マッチの相手が、なぜ実力的に劣るアジアの韓国と日本なのか、ヨーロッパ勢と戦わなければ意味がない、というのだ。
ブラジルが「格下」の
韓国・日本と対戦する理由とは
ブラジルとヨーロッパ勢の国際親善試合は、2019年3月のチェコ代表戦を最後に組まれていない。これは18年のロシアワールドカップ後に、55協会が加盟するヨーロッパサッカー連盟(UEFA)内で新設された公式戦、UEFAネーションズリーグと深く関係している。