「デザイン思考」「デザイン経営」という言葉がバズワード化する中、デザイナー採用の現場はどのように変化しているのだろうか。デザイナーの求職と求人のマッチングプラットフォーム「ViViViT」を運営するビビビット代表取締役社長の小宮大地氏に、デザイナー側、企業側双方の意識の変化を聞いた。(聞き手・構成/ダイヤモンド社 音なぎ省一郎)
ポートフォリオを媒介に、デザイナーと仕事をマッチング
――「ビビビット」というユニークな社名の由来を教えてください。
小宮 社名そのままですが、「直感を大切にしよう!」「ビビビッときた会社に会いに行こう!」というメッセージを込めました。デザイナー志望の学生に、作品をちゃんと評価してくれる会社に出合える場を提供したいと考えたのが原点です。
――デザインに特化したマッチングサービスにした狙いは何ですか。
小宮 ViViViTを立ち上げた2013年当時、デザイナー志望の学生の就職活動において、幾つかの問題があり、これらを解決するサービスを作れば就活生・企業ともにWin-Winになれるビジネスチャンスがあると思いました。
当時は、企業から学生へ直接アプローチをする採用手法、いわゆるスカウト型採用が今ほど普及しておらず、デザイナー志望の学生も、リクナビやマイナビといった総合系のナビサイトからエントリーするのが一般的でした。それでは十把ひとからげ、学生の作品を評価できません。また、ポートフォリオ(作品集)の提出形式を紙媒体に限っている企業が多く、印刷代だけで何万円もかかるので学生の費用負担も大きかった。慣習として続いてきたこの就活様式だと、作品をちゃんと評価してくれる企業があったとしても、出合うのが困難だったんです。そこで、ウェブ上で簡単にポートフォリオが作れて、それを企業が自由に見られるようにしようと考えました。
――それから10年。今では利用企業数は累計2700社、登録されている作品は110万点以上に上ると伺いました。
小宮 特にデジタル領域のデザイナーの採用需要が急増していることもあり、サービスの規模は順調に拡大しています。ViViViTでポートフォリオを作る、または投稿することを1次選考の条件にする会社もあり、デザイナー志望の学生には「就活の必須ツール」として浸透しています。
転職活動やフリーランス・副業の仕事探しとしても使えるようにはなっていますが、現役のデザイナーにはまだまだ浸透していません。現在、デザイナーのナレッジ共有の場として「デザナレ」というイベントを運営していますが、そうした取り組みを中心に、あらためてサービスのアップデートや認知拡大に力を入れているところです。